ママパパも自分の時間大切に フェルト絵本のお店chouchouBambiの前野真利子さん

フェルト絵本を手がけているchouchouBambiの前野真利子さん

優しい手触りに、たくさんの楽しい仕掛け。子どもの好奇心を刺激するようなフェルト絵本を制作・販売しているお店が、chouchouBambi(シュシュバンビ)です。同店の前野真利子さんは、2人の娘さんを育てながら、作品やキットの制作に当たっています。絵本屋Hottoでもフェルト絵本作りワークショップを開催している前野さん。作品への思いについて伺いました。

「物語が生まれる絵本」

針を動かす姿は、みんな真剣そのもの。作業が始まって1時間ほど経っての休憩時間でも、なかなか手が止まりません。講師役の前野さんは時折ホワイトボードを使いながら、作業のポイントを解説します。

ワークショップの様子

「子育て中のママパパも自分の時間を作ってほしい」。そんな思いで既製品だけでなく、多くのキットを展開している前野さん。子育てで忙しくても、作品に向かい合う時間は誰にとっても贅沢な時間といえるでしょう。

前野さんのフェルト絵本は、子どもが楽しめるような仕掛けが多く隠れています。作品の一つ「かくれんぼ」では、卵の中にひよこが隠れたり、ひよこがお母さんニワトリの羽に潜ったり。「物語が生まれる絵本」というコンセプトを掲げているフェルト絵本について、前野さんは「子どもの想像力が動き出すような絵本を作ろうと心がけています」と話します。「例えば雨が降って水たまりができると、大人にとっては厄介です。でも、子どもは水たまりが楽しい。子どもは自由に、世界を紡いでいるんです」。

作品の一つ「かくれんぼ」

大学時代は心理学を学んでいたという前野さん。砂の入った箱におもちゃを置いていきながら自分を表現する「箱庭療法」について学ぶ過程で、子どもが物語を作って自分の心を整理していく大切さを知ったといいます。フェルト絵本への思いの背景になっているといえるでしょう。

自分の目標になっている作品作り

仙台市出身の前野さんは大学卒業後、東京でホテルスタッフとして働いました。熊本に訪れたのは2010年。旦那さんの転職を機に、縁もゆかりもない土地で過ごすこととなりました。2012年に、長女を出産。知り合いがいない土地で子育てすることは大変だったそうです。「子育て支援センターに毎日通ってましたね」と振り返ります。

仙台市出身の前野さん。縁もゆかりもない熊本での子育てが始まりました

「子どもはやっぱりかわいい」と子育てに充実した思いを持っていた一方、自分を失っているようにも感じていたそうです。

「昔から何かに打ち込んできたのですが、なかなか自分のためだけの時間が取れない。目標みたいなものを失った気がしたんです」

新しい何かを始めたい。そんな思いを持っていた中、子育て支援センターで開催されていたおはなし会に参加し、絵本や手遊びの力を感じます。「仕掛けのあるフェルト絵本を作ってみよう」。思い立った前野さんは、お子さんが1歳になるころ、最初の作品を作ることとなりました。その後は忙しさから作品作りから離れることとなりましたが、アイデアはノートに書き残し続けていたといいます。

やがてお子さんが幼稚園に通い始め、パート勤務を開始。しかし、お子さんの突然の発熱などで外で働くハードルの高さを感じていたといいます。そんな中、ハンドメイドメイドブームが到来。「ネット通販なら続けられるかもしれない」。作品作りが、本格的に始まります。そして2018年春、初めてのイベント出展。初めての作品「あめ」を皮切りに、キット4種類、既製品7種類と作品の種類を増やしてきました。

2018年から作り続けた作品。キット4種類、既製品7種類があります

やりたいことをやれば世界が広がる

作品の構想は子どもの寝かしつけをしながら考えるという前野さん。苦労するポイントは手書きの説明書作りだそうです。「初心者の方でもわかるように表現を考えています。最初のキット作りのときには、手芸が得意ではない友達に作品を作ってもらいながら書いていきました」と振り返ります。キットはすでに生地が切ってあり、中学校で習う裁縫技術があれば誰でも作れるそうです。キットや作品作りの過程で出る余った生地などを使い、ハンドメイドアクセサリーも作っています。

キットはすでに切ってあり、中学校で習う裁縫技術があれば作れるといいます

今後は、キットや既製品の制作数を増やしていきたいそうです。「アイデアはできあがっているものの、まだ作れていないものもある」と意欲を見せています。「広い世代でコミュニケーションツールになるような作品を作っていきたいですね」と笑顔です。

家族も応援してくれており、注文が入るとお子さんが一緒に喜んでくれるといいます。「親が好きなことに打ち込んでいう姿は子どもにとっても刺激になる。もしやりたいことがあったらやったほうが世界は広がると思います」。そう語る前野さんのフェルト絵本。作ってみることで、自分の世界が広がるきっかけになるかもしれません。

産経新聞社で事件取材や行政取材を担当。同社退社後、リクルートキャリア入社。新卒採用媒体リクナビの営業担当を務める。その後、コンテンツマーケティングエージェンシーのクマベイスに入社。2022年12月に絵本屋Hottoを立ち上げる。

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