子どものころに、両親から絵本の読み聞かせをしてもらった記憶のある方は多いでしょう。絵本の読み聞かせは、少しの時間であってもとても良い効果があります。今回は、絵本の読み聞かせの効果や方法、読み聞かせで避けたいことを解説します。
なぜ絵本の読み聞かせが子どもに良いのか
読み聞かせの効果を5つご紹介します。
自己肯定感が高まる
まず、読み聞かせの最大の効果として紹介したいのが、「自己肯定感が高まる」ということです。子どもに絵本を読んであげることで、子どもは「自分のために大好きなママ、パパが時間を取ってくれている」と認識します。自分が大切にされていることを自覚することで、自分への自信がつきます。
絵本を読むようせがまれたときは、何かをしていても手を休め、できるだけ読んであげるようにしてください。どうしても手が離せない場合はその理由をしっかり子供に説明し、後で読んであげると良いでしょう。
言語能力が高まる
絵本の読み聞かせで子どもに言葉を投げかけることで、子どもの言語能力が高まります。シカゴ大学医学大学院・小児外科教授のダナ・サスキンド氏の著書『3000万語の格差――赤ちゃんの脳をつくる、親と保育者の話しかけ』によると、3歳までに聞いていた語彙の数によって、将来の語彙力、学力が決まってくるといいます。また、否定的な言葉ではなく、肯定的な言葉を投げかけることが重要とのことです。
絵本には肯定的な言葉がたくさん登場します。また、普段ではあまり使わないような言葉が出てくることもあるでしょう。絵本によって子どもに投げかける言葉の幅を広げることができるのです。
本好きになる
絵本の読み聞かせを続けていると、次第に子どもが自分から絵本を読む(眺める)ようになります。小さいころから本に親しむことで、成長するにつれて自然と本が好きになるでしょう。最近ではデジタル依存の危険が叫ばれた『スマホ脳』(新潮新書)がベストセラーとなりましたが、本好きはどれだけデジタル機器に夢中になったとしても、最終的に本に戻ってきます。小さいころからどれだけ本と親しんでいるかが、デジタル依存を防ぐカギになるでしょう。
子どもから同じ絵本を何度も読み聞かせするようせがまれた経験を持つ方は多いと思います。親からすれば大変ですが、子どもが本好きになりつつあるサインです。できるだけ応えてあげてほしいところです。また、子ども専用の本棚や絵本ラックを用意することも大切です。子どもがいつでも絵本に触れられる環境を作りましょう。
集中力が向上する
絵本に夢中になることで、集中力が向上します。「読み聞かせしているけど、すぐに違うことを始めてしまう」。そうお悩みの方もいらっしゃるでしょう。そんなときは、無理して絵本を読ませる必要はありません。無理させることで、逆に絵本が嫌いになってしまうこともあるかもしれません。子どもが夢中になっていることを優先することの方が大切です。どうしても絵本に集中できない場合は、違うジャンルの絵本を試してみてはいかがでしょうか。
感性豊かになる
絵本のストーリーに触れることで、子どもの感性が豊かになります。「登場人物は今どんな気持ちなのか」「なんとなく寂しい絵だな」など、子どもは絵本を読んでいるうちにさまざまな感情が浮かびます。感想を言った場合は否定せず、しっかり聞いてあげましょう。自己肯定感を向上させることにもつながります。
読み聞かせの方法とは
絵本に関する書籍は数多くあり、絵本の読み聞かせ方について解説したものもあります。「感情を込めてゆっくりと読む」といったものもあれば、「ゆっくり読まず一定の速度で読む」というものもあります。
さまざまな方法がありますが、一番優先すべきなのは「親子が楽しいか」ということでしょう。親がリラックスして楽しそうに読んでいれば、子どもも自然と笑顔になります。「絵本の読む時間は幸せな時間だ」と子どもが思えれば、自然と本が好きになるでしょう。
「こうするべきだ」と考えるのではなく、自分が楽しいと思える方法で絵本を読んでください。子どもとコミュニケーションを取りながら、絵本を読み進めていきましょう。
読み聞かせで避けたいこと
読み聞かせで避けたいことは、読み聞かせがテストの時間のようになってしまうことです。質問を投げかけること自体は悪いことではないですが、過度に投げかけると子どもは「答えなければならない」と身構えてしまいます。「このとき〇〇はどんな気持ち?」「〇〇はどこに描かれている?」というような質問攻めは、できるだけ避けたいところです。
ただし、子どもが感想を話してきたときや、絵を指差ししたときなどは、思いっきり反応してあげてください。決して感想を否定するのではなく、「そんなことに気づけてすごいね」と褒めることを意識しましょう。
親子が楽しいのが一番重要
繰り返しになりますが、絵本の読み聞かせで一番重要なのは「親子が楽しんでいるか」ということです。絵本は子どもにさまざまな良い影響を与えます。しかし、親が楽しんでいないと効果を十分に発揮することはできません。子どもと一緒に、思い切り絵本を楽しみましょう。